2016.05.01
Le Souffle
こんにちは、脇です。
西麻布にあるスフレの名店「ル・スフレ」が閉店すると聞きつけ、慌てて駆け込みました。
20年前、スフレに初めて出会ったお店。
いや、後にも先にもこのお店以外でスフレを食べたことがありません。
テーブルには「席を立たないように」という注意書きが...。
スフレはとてもデリケートな食べ物なので、焼きあがってから30秒くらいで少しずつしぼんでいってしまう。そのタイミングを逃さないように、という店主からのオーダーなのです。
焼きたてのスフレの真ん中にスプーンで穴を開け、小さなソースパンからクリームを注ぎ入れると、シュワ〜っと溶けて形が崩れていきます。
初めてこのお店に入った時、大人の社交場のような雰囲気に少しドキドキしたことを覚えています。
メニューもお店の内装もあの頃と全く変わっていなかったけれど、私はこの20年でずいぶん変わりました。結婚して娘ができて、そしてその中学生になった娘と一緒にテーブルに向き合って座っているのですから。
ファンに惜しまれつつも35年の幕を閉じる名店と私の古い記憶、そしてスフレがシュワ〜と溶けていく様子が絡み合って、なんだかとても儚い気持ちになりました。
お店の独特な空気感とスフレの感触...
これは娘の記憶にもきっと残るでしょう。
帰り際に、ジャケットを着て髪の毛をシチサンにまとめた少年がお母さんに連れられて入ってきました。
そう、ここは正装して行くお店。
スイーツなんていう分類にはできない、特別なもの。
さようなら、ル・スフレ。