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一汁一菜でよい という提案

こんにちは、脇です。
運命の本に出会いました。

「一汁一菜でよい という提案」
料理家 土井善晴さんの新刊です。
一汁一菜.jpg
「暮らしにおいて大切なことは、自分自身の心の置き場や、心地よい場所に帰ってくる生活のリズムを作ること」

そのための提案が一汁一菜というシステムであるという。

食の基本をきちんとすることにより、心の充実、家族、健康、美しい暮らし、そして、実現すべき仕事を支える要ともなる。


この本は、日々、料理を作ることを大変と感じている人へ、少々お叱り(?)も交えながら食に対する向き合い方を指南している本です。


食事を一汁一菜にすると、おかずを考えるストレスから解放されるわけなのですが、一汁一菜は決して手抜き料理なんかではなく、「簡単な作業を丁寧にすること」が大事なのだと気付かせてくれる。


「一汁一菜」
つまり、炊きたてのご飯と具沢山味噌汁、そして漬物さえあればいい、と。


ご飯は研いで炊いただけ、味噌汁と漬物は微生物によって味がつき、人工的なものではない。跳び上がるようなおいしさではないけれど、だからこそ飽きないのである。
しかも、おいしい時もあれば、そうでない時もあっていい、と書いてあります。

日常の食事というものは、それで十分であり、日常に凝った料理を作る必要はない。
むしろ、ハレの食事とケの食事のけじめをつけるべき、だそう。

食事とは、買い物をし、下ごしらえし調理し、盛り付け、食べて、片付ける。
この一連の行動を「食事する」というのであり、食べることだけを切り取っては、「食事する」とは言わない。

食べることに責任を持つこと。
そこに社会があり、環境があり、自然があり、地球がある。


と...もう、どこをめくっても名言だらけです。

私は食事の支度をする際、おかずを考える前にご飯と味噌汁の用意から入るのですが、それは私が育った食卓に関係しているのかもしれません。当たり前だと思っていましたが、ご飯とおかずは作るけれど味噌汁は作らない、という家庭が結構あることを最近知りました。
汁物がないなんて!味噌汁を水筒に入れて持ち歩きたい、というくらい大の味噌汁好きな娘がいる我が家で1日でもそんなことしたら、大ブーイングです、きっと。


そして、この本はタイトルもまたいいですね。
「一汁一菜のススメ!」ではなく、「一汁一菜でよい という提案」ですからね。押し付けがましくなく、控えめです。佐藤卓さんの装丁もまた素晴らしい。


この本を私に紹介して下さったのは、日本を代表するアートディレクター田中一光さんの姪で、同じくアートディレクターである田中千絵さんです。
千絵さんの事もチラリと本の中に出てきましたね。
余談ですが、彼女はデザインだけでなく、切り紙のアートワークも大変素晴らしい方なんですよ。


さて、この本を人生のバイブルとし、一生懸命一汁一菜に取り組もう、と誓うのでした。
「食の基本」を体に染み込ませてくれた母に感謝しながら...